こんにちは獣医師のジマです。本日も都内ではコロナウイルスの感染者が新たに100名以上確認されました。これで都内での感染か確認者数が3桁を超えるのは12日連続だそうです。
いまだワクチンや治療薬の開発には時間がかかりそうですし、今後しばらくは感染は拡大傾向になるでしょう。
コロナが流行りだした3月ころから患者さんに犬や猫も新型コロナウイルスに感染するんですかという質問を多く受けましたので今日はその疑問にお答えできればと思います。
結論。犬も猫も新型コロナウイルスに感染します!!
ごくわずかな例ではありますが世界中でペットの犬や猫、動物園のトラやライオン、農場のミンクでの感染が確認されています。
最初に動物から新型コロナウイルスが検出されたのは2020/3/4に香港の飼い犬から検出されました。この飼い犬の飼い主は新型コロナウイルス陽性患者です。しかし、この症例は、鼻腔内から新型コロナウイルスが検出されたものの、付着したものであり、感染は認められませんでした。(感染が成立すると血液内から抗体と呼ばれる物質が検出できる)
その後も犬のみならず猫やトラ、ライオンなどから新型コロナウイルスが検出されましたが感染の確認には至っていませんでした。
6/2アメリカで犬から新型コロナウイルスの抗体が見つかる
米国農務省が6/2に飼い犬から新型コロナウイルスの抗体が認められたと発表しました。抗体は
病原体などが体内にはいったとき、それと特異的に反応する物質として体内に生じるもので免疫に大きく影響します。抗体が見つかるということはすなわち、過去に感染したという動かぬ証拠になるわけです。
アメリカではこの犬以前に、 陽性となった動物はトラが5頭、ライオンが3頭、飼いネコが3匹 です。今回の犬を除くとすべてネコ科動物です。このことからも今回の新型コロナウイルスは、イヌ科動物よりもネコ科動物にたいして高い感受性がありそうです。
今後もペットへの新型コロナウイルスの感染は増えていくのか?
あくまで私見ですが、人のような感染爆発は今後も起こらないと思います。
動物への新型コロナウイルスの感染爆発が起こらない理由
ウイルスや細菌、寄生虫などが感染する際には種特異性というものがあります。種特異性とは感染が成立する対象となる動物種のことです。多くの種類の動物に感染するものを種特異性が低いといいます。逆に限られた種類の動物にしか感染が成立しないことを種特異性が高いといいます。
コロナウイルスは種特異性の高いウイルスであり、感染が成立する動物種というのは限定的です。また、感染の成立にはウイルスの場合はウイルスを①細胞内に取り込む②増殖させる③排出するといった流れが必要になります。種特異性の高いコロナウイルスではまず第一段階である①細胞内に取り込むことができる動物種の数が限られます。また仮に細胞内に取り込まれることに成功したウイルスも人の細胞内で増殖を行う時のような効率の良い増殖ができない可能性が高いです。
感染症を乗り切るためのペットとの付き合い方
今のところ新型コロナウイルスが犬や猫からヒトに感染した例はありませんが、犬からヒトへ感染したり、猫からヒトに感染する病気もあります。(人獣共通感染症といいます)
動物と触れ合ったらしっかり手を洗う
手洗いは感染症予防の基本中の基本です。新型コロナウイルスが流行した半面インフルエンザの感染者数が激減したそうです・この理由の一つとして新型コロナウイルスにより石鹸での手洗いうがいがより積極的に行われるようになったからだと思われます。
動物と触れ合った後に、手に病原体が付着したままご飯を食べたり、目をこすったりすることで感染が成立します。
行き過ぎたスキンシップは控える。
動物たちともソーシャルディスタンスです!!(ソーシャルディスタンスが今年の流行語になるのではと個人的に思っています。)
愛犬・愛猫とキスをしたり、同じ食器でご飯をあげている方はいませんか??やめましょう、感染症の多くは口から感染が成立します。
まだ国内での人からペットへの新型コロナウイルスの感染は確認されておりません。感染症は恐ろしいものですが過度に恐れることなく、正しい知識を持って、予防をしましょう。
皆さんがペットと安心安全に暮らせることを願っています♪
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