狂犬病の予防接種って必要なの??獣医の金儲けって本当??

犬の病気予防

 春になり、ワンちゃん達の予防接種の季節となりました。皆さんはもう予防接種は済ませましたか?

 狂犬病って日本にないんでしょ?うちの子は完全室内外だけどワクチンって必要なの?獣医が金儲けのために狂犬病ワクチンを勧めているんだろ!!このように飼い主さんから質問されることが、たまにあります。

結論から申しますと、狂犬病の予防接種は必要です。

そもそも狂犬病ってなに??

 狂犬病はラブドウイルス科の狂犬病ウイルスによって、多くの哺乳類に引き起こされる人獣共通感染症です。人獣共通感染症とは、動物の病気で動物や土壌などの環境を介して人に感染したり、逆に人の病気で動物に感染する病気の総称です。

 人が感染した場合。発症までの潜伏期間中にワクチンを打つことで発症を抑えることができます。これを暴露後免疫と呼びます。しかし発症した場合の致死率は、ほぼ100%という大変危険な病気です。狂犬病ウイルスは、オセアニアを除く全ての大陸に存在します。過去10年間で発生がない国は、日本、オーストラリア、ポルトガルなどの一部に限られています。

日本で発生してないのに予防は必要なの??

 日本は、世界で見ても数少ない狂犬病の清浄国です。なぜ、清浄国の日本でワクチン接種が必要なのでしょうか?予防分野には「70%の法則」というものが存在します。これは病気にかかる動物(狂犬病であれば犬)の、70%以上が予防接種を行うことで大流行を防ぐことができるというものです。予防においては、コミュニティーの中でこの70%という数字を下回らないことがとても重要になってきます。国内の予防率を70%以上に保っていれば、海外から狂犬病ウイルスが入ってきたとしても、国内での流行を防ぐことができます。

 近年、交通網の発達により、海外からの人や物の移動が増加しました。ウイルスも例外ではありません。国内では清浄化状態であった病気が日本でも発生するようになりました。2015年には、東京でデング熱が発生しました。この時は迅速な蚊の駆除により流行を防ぐことができました。2018年には、岐阜県で狂犬病と同様に清浄国認定されていた豚コレラが発生しました。豚コレラは20年以上国内で発生が無く。輸出の関係から、ワクチンの接種が中止されていました。国内の豚は豚コレラに対する免疫を持っておらず、瞬く間に、国内に広がってしまいました。

 狂犬病も、日本に入ってくる可能性は決して0ではありません。予防接種は、大切な家族と日本中のワンちゃんを守る大切な行為です。大切な家族のために必ず毎年予防を行うようにしましょう。

狂犬病ワクチンってどんなもの??副作用は??

 ワクチンは、大きく分けて毒性を弱めたウイルスを使う生ワクチンと、完全にウイルスを殺した不活化ワクチンの2種類に分けることができます。狂犬病ワクチンは、後者の不活化ワクチンです。ですから、ワクチン接種が原因で、狂犬病に感染することは勿論ありません。しかし、極まれに、アレルギー症状や、発熱、嘔吐をおこしてしまう子がいます。これらの副作用の多くは、接種後30分、遅くとも1日以内に発生することがほとんどです。ですから、ワクチン接種後30分は注意深く様子を観察してあげましょう。

 老齢の子や、現在他の病気の治療中の子、以前に予防注射で副作用を発症した子等は、狂犬病予防の免除規定があります。心配な方は一度ホームドクターの先生に予防接種が可能か聞いてみましょう。

獣医師のお金儲けの為じゃないの?

 確かに、動物病院にとってワクチン代が、貴重な収益であることは事実だと思います。しかし、多くの善良な動物病院ではワクチン代を元に、より充実した獣医医療を提供するための設備投資や人材確保を行うことで、動物たちに還元しています。獣医師は、決して金儲けの為にワクチンを勧めているわけではありません。

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