【こんな獣医師は嫌だシリーズ①】ステロイド先生

こんな獣医師は嫌だ

こんにちは獣医師のじまです。

今日から始まるシリーズ♪

「こんな獣医師は嫌だ(# ゚Д゚)シリーズです」

当シリーズでは、実際に同僚に聞いた病院の話や、紹介されてきた病院でのとんでも治療をご紹介していきます。(特定防止のため一部内容を改変しています。ご了承ください)

飼い主の皆さんは獣医師の先生の話を妄信していませんか?

シリーズを読んであれ?うちの子のことかなと思った際は是非セカンドオピニョンも検討してみましょう。もちろんその子の状況によっては正しい治療が行われている場合もあります。

記念すべき第一回は魔法の薬?ステロイド大好きステロイド先生のお話です。

ステロイド大好きステロイド先生

ステロイド剤とは??

ステロイドは、もともと体内の副腎(ふくじん)という臓器でつくられているホルモン(副腎皮質ホルモン)で、このホルモンがもつ作用を薬として応用したものがステロイド薬(副腎皮質ステロイド薬)です。

外用薬(塗り薬)だけでなく内服薬や注射薬などもあり、さまざまな病気の治療に使われています。

ステロイドにはいくつもの効果があります。主な効果は下記のものです

  • 抗炎症作用
  • 血管収縮作用
  • 免疫抑制作用
  • 細胞増殖抑制作用

特に炎症を抑える効果が高いです。炎症は感染・外傷・免疫疾患・腫瘍など多くの病気で起こります。

当然、体の中で炎症が起きると倦怠感・疼痛などが起こり、食欲不振や活動性の低下につながります。

なのでどんな病気かわかっていなくてもステロイド剤を使用することで一時的に体調が改善したように見えることが多いです。

また、ステロイド剤は安価なため長期的に利用した際も経済的な負担が小さい薬です。

【怖い】ステロイド剤の副作用

この世の中に副作用のない薬は存在しません。副作用とは、目的とした作用(主作用)以外に体に起こる反応を言います。体にとって良い副作用もあれば害となる副作用が存在します。

当然、ステロイド剤にも副作用が存在します。ステロイド剤による副作用は下記のものがあります。

  • 易感染性:免疫力が低下するため細菌感染やウイルス感染にかかりやすくなります
  • 糖尿病:ステロイドホルモンにより糖を合成する働きを高めます
  • 消化管潰瘍:消化管粘膜が弱くなるため潰瘍ができやすくなります
  • 血栓症:血小板の働きを高めるため血管内に血の塊ができやすくなります
  • 副腎不全:ステロイドは本来、体内で合成されるホルモンですが、外部からの補充されると副腎がホルモンを合成できなくなってしまいます
  • 多飲・多尿:血圧上昇により飲水量の増加と排泄量の増加が起こります

ステロイドを長期・高容量で使用するほど副作用のリスクは高くなります。

多くの副作用は一過性ですが、投薬期間が長期化すると休薬後も回復しない場合があります。

ステロイド大好きステロイド先生の症例①

前足が腫れたわんちゃんにステロイド

ダックスフンドの空ちゃんが前足をかばって歩くようになり、体も熱っぽくなったためオーナーさんはかかりつけの先生のところへ

先生は話を聞いて触診をし、免疫異常による関節炎と診断し、ステロイド剤の投与を開始しました。

飲み始めて2日で前足をかばう仕草はなくなりましたが、4日目にはぐったりしてしまい、食欲も無くなってしまいました。

診察をすると、前足の関節は腫れており、針を刺して貯留液をとってくると、膿がたくさん採取されました。

免疫の病気だと思っていた空ちゃんは細菌感染をおこしていました。検査をせず、診察のみでとりあえずステロイドを処方した結果、ステロイドにより免疫低下が起こり、細菌感染が悪化しました。

細菌感染が全身にめぐってしまい、敗血症という命の危機に瀕していたのです。ステロイド剤の休薬と抗生剤の投与で快方に向かいました。

ステロイド大好きステロイド先生の症例②

処方されている薬を確認せずにステロイドを追加処方

関節炎でNSAIDsと呼ばれるお薬を服用していた、ゴールデンレトリバーの海くん。

鼻水が止まらなくなってしまい、動物病院Aに行こうとしましたが、普段お世話になっているかかりつけの病院はお休み。

そこで家の近くの動物病院Bに行くことしました。

動物病院Bの先生は慢性鼻炎と診断し、抗生剤とステロイド剤を処方しました。

抗生剤とステロイド剤を飲み始めて鼻水は改善しましたが、徐々に便が柔らかくなり、最終的には真っ黒な便をするようになりました。

貧血が進行し、ぐったり。。

輸血し、ステロイド剤を休薬、伊粘膜保護剤を使用して快方に向かいました。

ステロイド剤には飲み合わせの良くない薬が存在します。

NSAIDsとステロイドを同時に服用すると、重度の消化管出血を起こすことがあります。今回の症例は重度の胃潰瘍を起こし、貧血になりました。

まとめ

ステロイドはとても便利な薬です。

安価で効果が出るのも早いです。しかし、診察や検査を十分に受けずステロイド剤を使用すると

症状が悪化したり、一見体調がよくなったように見えても何度も何度も再発を繰り返してしまうようになります。

長期間、ステロイドを飲んでいる皆さん?しっかりと定期的に血液検査をしていますか??

もしかすると糖尿病や肝不全が進行しているかもしれません。

病気によってはステロイドの長期投与が必要となる場合がありますがしっかりと検査しましょう

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